燃える煙突。
Flying Fish.
テレビからは今日も悲しいニュースが溢れ出している。



「また少年犯罪か…。」

マサが、夕食の肉じゃがをつまみながら悲しそうに呟いた。


私は俯き、黙々とご飯を口に運ぶ。


「しかも、幼児を誘拐だってさ。身代金目的か…。」


「…ニュース見てたら悲しくなっちゃうから、チャンネル変えよう。」


私が適当にチャンネルを変えると、画面にはよく見る芸能人達が楽しげにトークをしていた。


気が滅入ってしまう時には、何も考えないですむバラエティー番組が一番だ。



偽物でもいいから、楽しい世界を見せてくれる

これが、私の救いだった。


そんな私を見て、マサは何か言いたげな顔したが、思い直した様に直ぐにテレビに視線を向けた。



毎年この時期になると、私の様子が可笑しくなる事を、マサは知っている。


それでも、理由を問おうとはしなかった。


きっと、私から話すのを待ってくれているのだろう。


私は、マサのそんな優しさが好きだった。
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