燃える煙突。
「なぁ、俺たちも今度の休みに旅行に行かないか?」

「何よ、急に。」

マサの突拍子のない質問に少し驚いた。


「テレビ見てたら、旅行に行きたくなっちゃって。」


テレビに目を向けると、海外旅行がどうのって話で盛り上がっていたようだ。



「旅行行くの嫌?」

マサは悲しそうに、私の顔を覗き込んだ。



「…嫌ではないわよ…。」


「気分転換にもなるし行こうよ。」


マサは、私の事を本当に心配してくれているんだ。


少しでも気が紛れるように、いつもと違う土地に連れて行ってあげたいのだろう。


マサの包み込むような優しさに気づき、自然と顔が綻んでいくのを感じた。
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