クローバー
私は
目を離す事が
出来なかった
そんな私に
彼は気づき
分厚い本をしまい
こっちへ
向かってきた
『ありがとう』
『君に借りたから
君に返したくて…』
彼は
あの日
私が奥から取り出して
貸した
あのタオルを
手渡した
張り裂けそうになる
自分の胸が
激しく鳴り響く
この大きな鼓動が
聞こえている様で
恥ずかしかった
私は何も言えず
気付くと
彼は もう
私の前から
消えていた
身の入らないバイト
その日1日
一番端の
外の見える席を
見つめていた…