クローバー
『そのまま
屋上へ向かった…
自殺なんて
考えてなかったよ
その時は…
その病院は
街より
高台に建っていて
屋上へ
あがると
遠くにだけど
水平線が見えるんだ
真っすぐな…
中学の時位からかな
学校帰りに
用もないのに
病院へ行って
屋上へ
あがるんだ…
水平線を見にね…
すると
真っすぐのびた
水平線は
どこまでも
続けているんだなって
自分も
水平線の様に
真っすぐ
突き進もうって
思えたんだ…
その日も
真っすぐのびた
水平線を
ずっと
眺めていたら
何もかも
忘れられた…
そんな気がした…
でも
今自分の体に
おきている現実に
目をそむけることは
出来なかった…
どうしていいか
分からず
これから
どうなるのかも
分からず
水平線に
向き合える自分が
いなかった…
水平線に背を向け
座り込んだ…
背中には
網越しに
ひんやり
春香る風が
吹き付けた…
もうすぐ
3年かぁって
思うと
卒業
進学
就職
自分の人生
これから先
強く生きれる自信が
なくなった…
立ち上がり
屋上から
下を
見下げる
自分の目からは
涙が
ポロポロ
こぼれていた…
男のくせに…
涙をふき
上を向くと
そこには
雲1つない
真っ青な空が
広がっていた…
最後に
いい気分にさせてくれて
ありがとう…
そう神様に
言ったようだったよ…』