イケメン★ハーレム
「アンタ、昔は地味で冴えない子だったんでしょ。 今は昔よりマシになったからって、ちょっと調子にのってるんじゃない?」


どんっ!と突き飛ばされて、尻もちをつく。


淳の為に勝った缶が、コン、と音を立てて落ちて転がっていく。


「いつもみたいに、言い返してこないの?」


そう言われて、口を開くけど、言葉が出ない。


…どうしてだろう。



「やっぱりアンタって、昔と見た目は変わっても中身は変わってないんだよ。」


そう言われてギサリ、ときた。


たしかに…変わってない。


変わったつもりでいたけど、それは外見だけ。


同級生の子に何か言われたって、言い返せない…気の弱い、私。



「そんなアンタが、学園のアイドルの香川くんと付き合うなんて、私は認めないし、許さないから!」


佐藤さんはそう言うと、私に背を向けて逃げて行った。


ちょっと言われて、突き飛ばされただけなのに。


体がガクガクして立てない。


「やっぱ、私…変わってないよ…」


私は全然変わってない。見た目は変わっても。


中身はそのまま。


人に嫌われるのが、怖い。
人に無視されるのが怖い。
人に馬鹿にされて笑われるのが嫌い。


だから、変わろうと思った。


なのに…。


…でも、もっと怖いのは…。
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