ナイツ。
退屈に負ける日々
この世の中は、なんと退屈で醜いのだろう。
あたしは、この世に生まれたことを、後悔しない日はなかった。
「今日も、あいかわらず、つまんなさそうな顔してるね」
朝で低血圧全開のあたしに、まひるが陽だまりのような笑顔を向けた。
――まぶしい。
あたしはクラクラした。
「……朝は、調子が出ないの」
適当なことを言って、あたしはけだるそうに、頬杖をつく。
「麗愛が、調子出たところなんて、見たことないけどな」
いたずらっこみたいな顔をして、まひるは笑う。
「あーあ。こんなに眉間にしわ寄せて」
まひるはそう言うと、あたしの眉間に指を置いた。
「せっかくキレイなのに、もったいないよ。笑ったら、もっと良くなるのに」
丸い童顔を、くしゃっとさせて、まひるは笑う。
あたしも。
あたしも、そんなふうに笑える日が、くるのかな……。
そんなことを、ぼんやり思う。
ありえないのに。絶対に。
それにしても。
キレイだなんて、とんでもないと思った。
この世とあたしに、1番ふさわしくない言葉だからだ。
造形が整ってることが、キレイの称号を得るのではない。
それは、あたしがよくわかっていた。
あたしは、汚い。
「ま、もっと良くなっちゃったら、この学校の男子は、もっと大変になっちゃうから、今くらいでちょうどいいかもね」
そう言うと、まひるは廊下のほうに目をやった。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop