ファインダーの向こう側
あたしはほんのすこしだけ迷ってから、リボンに手を掛けた。

そんなあたしの横顔を見つめているとーやの視線がひどく気になって、どんな顔をしたらいいのか解らなくなる。


これがまるで、プレゼントみたいに見えるから嫌に緊張するんだろう。

例えばこれが、無造作に袋に入ったホワイトチョコだったりすれば、なんのてらいもなく受け取って、それで終わりだったのに。


「………」

小さな箱から出てきたのは、やっぱり小さな宝箱のかたちをした銀色のオルゴールだった。


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