ファインダーの向こう側
「だめだよ。だめだよ、とーや。あたしなんかといたら汚くなっちゃう。
あたし、とーやにはずっと綺麗なままでいてほしいのに。ずっとそのままでいてほしいのに」
あたしの頭に浮かんだのは、不快感でも、困惑でもなく、喜びでもなかった。
ただ、あたしなんかとこれ以上関わってとーやが汚れてしまうのが怖かった。
とーやは少し困った顔で、笑った。
「―――ごめんね、あざみ。
でもそれって、すごく残酷だよ」
何かの弾みで動いたらしいオルゴールが回り始めた。
「星に願いを」
あぁ、お願いだから幸せそうに、綺麗に綺麗に笑っていてほしい。
あたしにはとーやの台詞の意味が全くわかっていなかった。