ファインダーの向こう側
―――なんて、あたしは汚いものを見ていたんだろう。こんなにキレイなものがあっただなんて。


世界をはっきりとは映し出してはくれない、ポラロイドSX-70の優しさは、あたしを心地よく包み込んだ。

その小さな穴から世界を見ている時、あたしはまるで異世界にタイムスリップできたみたいで、あたしは、ずっとずっと、その穴から世界を見ていた。


きみちゃんが、何であんなに写真にこだわるのか。


少しだけ、わかった気が、した。


でも、きっと。こんなものを通さなくてもとーやから見る世界はキラキラ光り輝き続けているのだと思う。


だって、とーやはいつだって、あんなにキレイに、無邪気に笑っているのだから。
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