傷を分け合って
真っ暗な闇の中に、今は使われていない小さな建物があるのがかすかに見えた。
『ほら』
差し出された手を掴んだ。
『危ないから気ィつけてな』
ユーキの温かくて大きな手にしがみつき、履き慣れていない少し高めのヒールで、一歩一歩確かめながら歩いた。
建物の目の前に来ると、壁につたって階段があった。
ユーキに手を引かれるまま、上に行くと突然目隠しをされた。
『ちょっと〜。見えない〜!』
『いいから黙ってろって』
目隠しをされたまま数歩進んで行ったところで、また突然目を覆っていたユーキの手がはずれた。
『ハイ、どーぞ』
目の前には見た事もない綺麗な夜景が広がっていた。
『ユーキ!私こんな綺麗な夜景初めて見たよ!』
『綺麗だろ?』
夜景に照らされたユーキの顔も凄く綺麗・・・。
好き・・・。
私はユーキが好きで好きでたまらなくなった。