傷を分け合って
必死でユーキの名前を呼んでいた。
私はあまりの恐怖と痛みに耐え切れずに、意識を棄てた。
あれから30分は経ったかな・・・。
微かではあったが、ユーキの車の音が聞こえた気がして失っていた気を取り戻した。
『ユーキ・・・』
涙を流しながら呟いた。
その時、タツミは私の中に熱い液体を吐き出した。
『うぅっ。ユーキぃ…』
涙が止まらない。
ハァハァと私の耳元では気持ちの悪い吐息が続いていた。
すると突然、私に覆いかぶさっていたタツミが私から引き剥がされた・・・。
暗闇でよく見えない。
少し離れた場所で何かが起こっている。
鈍い音と、怒鳴り声が響く・・・。
『…奈っ…里奈ぁ!』
声のする方に目をやると、アキナが泣きながら抱き着いてきた。