傷を分け合って
次の日、先生はお母さんにだけ話をすると、私には会わずに帰って行った。
アキナが居るから気を使ったのかな。
相変わらずアキナは私の家に来ては面白い話をしてくれた。
アキナと二人で笑い転げていたらお母さんがクッキーと紅茶を持って部屋に入って来た。
『里奈、今日は機嫌がいいのね。』
『アキナが面白い顔するんだもん!』
『だって里奈、最近笑わないから…』
お母さんは一枚の紙を私に差し出した。
よく見ると、病院のパンフレットのようだ。
『先生がさっき持って来てくれたの。…お母さん、里奈の笑ってる顔が一番好き。…だから、一緒に頑張ろう?』
『アキナもユーキ君も一緒に頑張るから。』
『…うん。ありがと、お母さん、アキナ…。』