傷を分け合って
車はしばらくして、繁華街から少し離れた駐車場に停まった。


私達は先を歩くタツミに着いて行き、小さな居酒屋に入った。


中に入ると男の人が一人、こちらに向かって手招きをしている。


『おーい!タツミ!コッチコッチ!!』


『おぅ。』


席に着くと、大学生らしい男が3人と、ユイの友達らしい同い年くらいの女の子が2人座っていた。


『おっ!久しぶりぃ!』

ユイは久々に会ったらしい友達と近況報告なんかをしている。

ついでに私の紹介もしてくれたので、私は一言『よろしく』とだけ無愛想に吐き捨てた。

無理矢理連れて来られた上に、ユイは一人で楽しんでいて、私なんておかまいなし。

正直、楽しくなかった。

それでも私は軽く話を合わせ、適当に相槌を打って、その場をやり過ごしていた。


突然、隣に男が座って話し掛けてきた。

リョウタというらしい。
勝手に喋り続けるリョウタの話にも適当に相槌を打っていた。




『里奈ぁ。リョウタに気に入られたねぇ☆』

トイレで化粧を直しながらユイが言う。


『き・を・つ・け・て・ね』


『うざっ。笑』

とだけ吐き捨て私達は席に戻った。
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