1ヶ月
コタローが匂いを嗅いだプリントを見ると、尚の筆跡。

おそらく、帰る時に間違えたんだろう。
他にも何枚かプリントが机に出てたし。


「コタロー偉いぞ。ついでに一緒に尚の家まで行かないか?数学の宿題やるの、免除してやるからさ」

なんて言いながらコタローを撫でると、「ワン!」とまた吠えた。


俺はプリントを持って部屋を出た。
コタローも後ろからついてくる。


「ちょっと尚の家に行ってきます。先に食べてもらって構わないので」

母さんの顔を横目に見ながら言った。


「そ、そう。気をつけて」

尚の名前が出たからか、母さんはびっくりしながら答えた。



家を出、コタローと夜道を歩く。
歩いてだいたい15分で尚の家に着く。


コタローはピタリと俺の横にくっついて歩いている。

……怯えてる?







動物の勘。

一瞬そんな言葉が頭をよぎる。


「……なーに、ビビってんだ俺」

大丈夫。
尚の家に行って、用を済ませて帰れば終わり。

それだけだ。



あんな過去に、いつまでも縛られてたら、進めないよ。
< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

延長戦
喜一/著

総文字数/1,220

青春・友情6ページ

表紙を見る
龍と語る者たち 〜龍と姫君〜
喜一/著

総文字数/2,960

ファンタジー12ページ

表紙を見る
僕ら
喜一/著

総文字数/137

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop