竜の国

12




いつのまにか

騒然としていた市場の中が

静まり返っていた。



人がいなくなったわけじゃない。



たくさんの人々が

遠巻きにあたしたちを見ている。



みんなあたしたちを凝視したまま

時が止まったように

立ち尽くしている。



あたしは震える少年を

抱きしめたまま

ゆっくり周囲を見渡して

にっこりと笑った。




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