Special X’mas
「はいはぁ~い」
急いで玄関へと向かい、ドアを開けると
「よぉ、愛美」
「恭牙~…かっこいい」
なぜか、スーツでビシッときめている恭牙がいた。
黒のスーツはすっかり恭牙に馴染んで、大人っぽさをより際立たせていた。
少しワックスで遊ばせた黒髪が、私の胸をきゅんとさせる。
服のおかげもあって、私がプレゼントする予定のピアスは、恭牙にピッタリあいそう。
「愛美も…大人っぽいじゃん」
小さかったけど、たしかにそう呟いた恭牙の言葉はきちんと私の耳まで届いていた。
やっぱり恭牙は気付いてくれた。
普段でも、十分大人っぽい恭牙にあわせて、ワンピースを選んでよかった~…って本当に思った。
「じゃ、行くか」
そう言った恭牙は、私の手をぎゅっと掴んで車まで歩き出した。
私より少し冷たい恭牙の手。
その手を掴んで離さないようにと、すこし強く握った。