Special X’mas
「何やってんだ。早く行くぞ?」
てっきり、このツリーが恭牙が連れてきたかった場所かと思っていた私は、このツリーの前でプレゼントを渡そうと、バックに手を入れた。
なのに、当の本人は少しツリーを見たものの、足早に私の手を握って歩き出した。
もっと見ていたかったな……なんて、ツリーに名残惜しさを残しつつも、恭牙が何処へ連れて行ってくれるのか、期待で胸が高鳴っていた。
恭牙が歩いているペースで、遅れないように普段よりも少し速く歩く。
これでも恭牙は、ゆっくり歩いているんだから。
少し歩くと、中世のヨーロッパにありそうな建物が見えてきた。
家の近くにこんなのはないから、結構遠くまできたんだろう。
恭牙は、突然その見たこともないようなお店を指すと
「ここ」
そう言ってニッコリ笑った。
ここ?
ここって、ここに来たかったって事?