Special X’mas
近づくと、遠くから見たときよりも意外と大きな建物。
その建物の看板らしき板に文字が書いてあるのが見えた……。
――――Special Hotel?
「スペシャル…ホテ、ル?」
「ん、入るぞ」
普通の顔をしている恭牙とは違って、口をパクパクさせている私。
だって……、だってホテルって!!
刺激の強い妄想をしながらも、ホテルに入ると、そこはホテルというよりも高級レストランっていう感じだった。
中にいる人は、カップルや老夫婦……その全ての人がドレスやスーツを着ていた。
ワンピースで来てよかった……私はそう思って小さくため息を吐いた。
黒服に身を包んだボーイさんみたいな人に連れられてやってきたのは、夜景がよく見える席……ではなく、一番奥の端っこの席。
綺麗な夜景が見れなかったのが残念だけど、絶対このホテル高いよね?
お金の心配なんかしている私をよそに、恭牙はなんだか満足そうな顔で笑っていた。