Special X’mas
突然私の名前を呼ぶ声がした。
―――誰?
そう思って振り返ると………
「あき…さん?」
昨日よりもっとオシャレをした亜紀さんが立っていた。
亜紀さん、いい人そうだけど今1番会いたくない人………。
「あら、偶然。……あれ?恭牙は?…電話はさっき切った筈なのに…」
ボソッっとそう呟いた亜紀さんの言葉の、何かが引っかかった。
「え…?電話って…」
「あっ、ゴメンね。独り言よ。気にしないで」
一見、嘘なんか付いていないように見える亜紀さん。
でも……明らかにさっき電話って言った。
って事は、電話の相手って亜紀さん……だったの?
「じゃあ、今夜は楽しんでね」
亜紀さんは、私の手を取ってぎゅっと握ると、少し微笑んで見せた。
だけど……その笑顔が少し寂しそうに見えたのは、私だけかな?