Special X’mas
その光景を見て、すぐにでも逃げ出したかった…。
だけど、足が言う事を聞いてくれない。
完全に固まってしまって、そこから一歩も動けなくなってしまった。
せめて、二人の幸せそうな姿を見ないようにと、上を向いた。
だって、下を向いたら涙が落ちちゃいそうだったから。
降ってくる雪が、顔に当たっては体温で溶けていった……。
涙でにじんで見えるツリーは、不覚にも凄く綺麗だと思った。
「愛美…待たせてゴメン」
そんな私の元へ走ってくる恭牙。
その手には、さっき持っていたプレゼントなんかなかった。
そのかわり………
「今日、さっきの所に泊まるから」
そんな声と共に、私の手が暖かい恭牙の手に包まれた。
その手の暖かさに、思わず涙が出そうになったけど、なんとか瞬きをしないようにして、涙を堪えた。
「うんっ」
恭牙……、私今笑えてる?
嬉しそうにできてる?