Special X’mas
~♪~♪~♪~
ふと、聞きなれた電話の着信音が耳に入った。
恭牙は、私から少し離れてポケットに入れておいたケータイを取り出す。
これは、恭牙が好きなバンドの曲。
もうずっと変えていない、恭牙のお気に入りの曲。
「ちょ…ゴメン。電話出てくるわ」
電話口に手をあてて、どこか人気のない場所へと走っていっている後姿を見つめる。
最近……、恭牙は変。
電話はしょっちゅうかかるし、用事とかで遊ぶ時間も少ないし……。
もしかしたら…浮気、なんて事もあるかも……なんて。
ダメだよね…、疑っちゃ。
マイナス想像ばかりしてしまう私って…子供?
そんな事を考えていると、横にいた亜紀さんがクスリと笑って私の肩に片手を置いた。
そして、口が耳についちゃうんじゃないかって程近くで……
「恭牙って…あのバンド大好きよね。ずっとあれだもの…」
そう囁いた。
―――――えっ……、なんで亜紀さんがそれを……。
そう聞こうとした時には、亜紀さんの顔はもう耳元から離れていて、私の視界には意地悪そうに微笑む亜紀さんが映っていた。
「恭牙……激しいでしょ?大変だよねぇ……」
「……激しいって」
「えっ?…もしかして、まだ……だったり?へ~…恭牙、我慢してるのね」
まだ……って、激しいって……、エッチ…の事だよね?
亜紀さんは…恭牙とエッチしたの?
亜紀さんは……やっぱり昔、恭牙と付き合ってたりしたの?