Special X’mas
―――亜紀さんは、恭牙とどんな関係なんですか?
なんて、聞く暇もなく………
「愛美っ、ごめんな」
ちょっと息を切らした恭牙が帰って来てしまった。
もちろん、恭牙の前でさっきの話が出来るはずもなく……。
私は開きかけた口を、静かに閉じた。
電話していた恭牙にはわからない何かが、私達の中には立ち込めていた。
亜紀さんは、意味深に微笑むと
「じゃあ、お邪魔しちゃ悪いから帰るね」
そういって、真っ赤なハイヒールうを鳴らせながら何処かへ行ってしまった。
私の目には、亜紀さんが履いていたハイヒールの赤と、爪に綺麗に塗られたネイルの赤………、そして鮮やかに艶めく口紅の赤が、焼き付いて離れなかった。
今日は、せっかくの恭牙とのデートの日なのに……。
まるっきりテンションが上がりそうにもない。