Special X’mas
それから、映画館に行ったり、ショッピングに行ったりして……気付けば辺りは暗くなり始めていた。
「…み…愛美?」
「へ?…あっ、ごめん!ボーっとしてた」
突然、恭牙が話しかけてきた。
何度も名前を呼んでいたらしい…。やばい…、ボーっとしすぎだ。
さっきから、何度も何度も亜紀さんの言葉が頭の中を回っている。
私…、恭牙とエッチしたい。
「恭牙っ、私……恭牙の家に泊まりたい」
無意識のうちにそんな言葉が口から飛び出ていった。
言った後に、後悔しても遅い。
自分の言った言葉の意味が身にしみるようにわかってきて、顔が真っ赤になった。
だけど、恭牙は………
「今夜は用事があるんだわ……。明日もデートだから休んどけ」
顔色一つ変えずにそう言って、いつものように笑った。
やっぱり……恭牙、浮気してるの?
もしかして、相手の人って…………亜紀さん?
そんな事を考えていても、聞けないのがやっぱりこの私。
「へへ。ごめんね……じゃあ、また明日」
運よく、そういったときにはもう家が目の前で、私は目に溜まった雫が零れ落ちてしまう前に、急いで家の中に入った。
恭牙は、何か言っていたけど「明日ね」もう一度強くそう言って、家のドアをバタンと閉めた。