君の紅が好き
幸い、家光の身に命の別状はなかった。
だが、胃腸が弱っていた家光はまた重湯の生活に逆戻りした。
家光はたいそうな美食家であり、白米一粒を食べただけでその日のお米炊きに使用した水が何処のものか分かるほどであった。
そんな家光に今、食という楽しみ、あわよくば生き甲斐とまでなりつつあるものを奪われかけているというのは大変な苦痛であった。
そんな少しの油断が落とし穴に繋がるこの修羅場の中、艶はただ必死にもがいているのであった。
だが、胃腸が弱っていた家光はまた重湯の生活に逆戻りした。
家光はたいそうな美食家であり、白米一粒を食べただけでその日のお米炊きに使用した水が何処のものか分かるほどであった。
そんな家光に今、食という楽しみ、あわよくば生き甲斐とまでなりつつあるものを奪われかけているというのは大変な苦痛であった。
そんな少しの油断が落とし穴に繋がるこの修羅場の中、艶はただ必死にもがいているのであった。