雨宿り
軒先
小次郎の家の前に自転車で乗り付けた。
玄関のひさしの下に駆け込み、空を見上げる。
更に雨脚が強まったみたい。
その上、雷鳴まで聞こえてきた。
強い雨を避けるにはそのひさしはあまりにも小さく、さらに風向きも悪かった。
(これじゃ、雨宿りになんないよ)
なにげに玄関の引き戸に手をかける。
すると、意外にも簡単にガラガラっと開いた。
鍵がかかっていなかった。
(物騒・・、でしょ)
回りを見渡す。
人の気配はない。
玄関の中に入った。
扉は開いたままにしておいた。
私はカッパの前をはだけ、フードをおろした。
急に遠くの雨音までが耳に響きだした。