雨宿り
 
「やぁ、」

小次郎はわたしを見つけると満面の笑みを見せた。
そして、何事もなかったかのようにそう声をかけた。

「ごめんなさい。鍵がかかってなかったもんだから、勝手に雨宿りさせてもらっちゃった」

「ああ、いつでもそうしてくれ」

 狭い玄関で小次郎はわたしの腰に手を掛けると奥へと押し込み、サンダルを脱いだ。

「まあ、上がってくれ」

わたしは身体をひねって、わざとらしく空を見上げたが、雨の止む気配はなく、小次郎の誘いを断る理由などなかった。



 
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