先生、あなたに逢えて幸せでした
優しく私を抱く陽介は時折口を開き私の耳元で囁く。
――「愛してる」って……
でも、私は何も言えない。
きちんと健太と決着を付けるまで何も言えない。
だから私は陽介に抱き着きただ頷くだけ。
そんな私に陽介は極上の笑顔を向けキスをする。
――「スゲェ幸せ」…
――「もう離さない」…
最低な私に極上の甘い囁きを与える。
この人の腕の中に居る時は何も考えなくていいように思った。
ただ、陽介だけを感じて陽介だけに溺れる…
健太と抱き合う時とは違う。
陽介に抱かれてると苦しくて切なくて、でも愛おしくて必死にしがみつく。
いったい、何時間抱き合い陽介と繋がって居たんだろう。
薄暗かった部屋には少し朝日が漏れ明るくなっていた。
何度も求め求められ私達が果てる事はないのだろうか…
抱き合う私達の頭に浮かぶ言葉はただ一言。
――「離れたくない」…
二人同時にお互いの耳元で呟いた。
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