先生、あなたに逢えて幸せでした


『…由佳。
最後に抱きしめさせて』


今までに聞いた事がないぐらいの真剣な健太の声。


『…うん』


そう私が答えると健太は優しく抱きしめ少しすると痛いぐらいに力を込めて抱きしめる。



そして耳元で囁いた…



『由佳…愛してたよ。
俺がこの手で由佳を幸せにしたかった。
……さよなら…。
愛しい人』



言い終わると私を抱きしめてた腕を離し健太は言った。


『由佳先に行って!
今日だけは一緒に帰れねーわ!
帰り道気を付けろよ!
なんなら伊室に電話して迎えに来て貰え』


『大丈夫。今日は一人で帰る。
んじゃ、私先帰るね』


私は健太に背を向け屋上を後にした。



この時私は健太とは赤い糸が切れたと思ってた。


でも本当は切れてなかった。


私達の糸はまだ繋がっていた。


その日が来るのはまだ先の未来。



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