先生、あなたに逢えて幸せでした


私は静かに扉を開け合鍵で鍵を閉めポストに合鍵を入れた。


たぶん陽介は合鍵に気付かない。


合鍵に気付くのは年明けだろうね。


その頃には私は居ない。


近所の挨拶回りも父と母は転勤になったと伝えただけで場所までは言わなかった。


誰ひとり知らない。


高校には担任宛で退学届けを郵送した。


担任が読む頃は私達は北海道だ。


私はゆっくり歩いて家に着いた。


寝れる訳もなくソファに座り朝を待った。


朝日がリビングに差し込みだしたら両親が起きてきた。


「由佳。直ぐに発つから用意しなさい」


お父さんに言われ腰を上げ玄関に向かった。


私達が乗る飛行機は始発。

今から急いで空港に行かなくては間に合わない。


私は飛行機に乗り地元を後にした。



< 412 / 428 >

この作品をシェア

pagetop