Jully〜あなたと夢を〜
「いつもここで歌ってるんですか?」
女性の声だ。
知り合いの声色を考えてみたが、浮かばない。
ギターの手入れをしながら、顔を上げる。
「サンタさんは歌も歌うんですね。」
そう言いながら、ニコニコ微笑んでいた。
歳は十代後半から、二十代前半かな?
とても笑顔が素敵な女性だった。
「すみません。どちら様でしたっけ…?」
この女性に全然見覚えがなかった俺は、キョトンとした顔で答えた。
「2番です。」
その人は、笑いながらそう答えた。
2番?弐板さん?…
…ナンパした覚えは無いし、そもそもナンパする甲斐性も無い。
考え混む俺を見ながら、うちのコンビニのビニール袋を差し出しもう一度言った。
「1人用のケーキを買った2番です。」
そう言われ思い出した。
…と同時に雪ちゃんか店長の声が聞こえてたんだと思い、苦笑いを浮かべるしかなかった。