Jully〜あなたと夢を〜

「その節は、ありがとうございました。……そしてすみません。聞こえてました?」


申し訳なさそうに俺が尋ねると…


「いいの…本当の事だし。それより歌上手いんですね。サンタさん。」


気にしてないことにホッとしたと同時に、歌が上手いと言われ驚いた。


「俺、研二って言います。…初めて歌上手いって言われたんで…お世辞でも嬉しいです。」


嬉しかった…。
ここで歌い始めて半年になるけど、自分の歌を面と向かって上手いと言ってくれたのは、この人が初めてだった。


「お世辞じゃないですよ。本当に上手だと思ったから、言ったんです。私、朱美って言います。」


そう言ってまた微笑んでくれた。


「そうだ。よかったら一緒にケーキ食べません?俺も2番あるんです。今日誕生日だからって、店長に貰ったんです。」


上手いと言われ、上機嫌な俺は突拍子も無い事を言っていた。


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