Jully〜あなたと夢を〜
忙しい日々
「ここか……。」
バイト先から歩いて15分。
駅前から少し離れたオフィス街に俺は居た。
名刺の住所を頼りに、ドリームレコード(株)までやって来たのだった。
20階建ての一昨年出来たばっかりのオフィスビル……の横の築50年はあろうかという、5階建てのビルを見上げていた。
303号室っと…
緊張してかボロ過ぎてか、なかなか入るのを躊躇っていたが、意を決してビルに入る。
まだ昼だというのにビル内は暗く、その異様な雰囲気が俺の足取りを重くする。
くすんだ階段を登り、やっと名刺に書かれた部屋番の前に立った。
落ち着け、研二。
店長も太鼓判を押してくれたじゃないか…。
そう言い聞かせ、深呼吸をする。
ここに来る前、コンビニによって店長に先に聞いてもらっていた。