Jully〜あなたと夢を〜

赤信号で止まると、店長は早速MDをカーステレオに差し込んだ。



『え〜店長、お疲れ様です。』


聞き慣れた研二さんの声が車内に流れる。
雨の音が強く、店長は少しボリュームを上げた。



『やっと…やっとと言っても曲だけですが、出来たんで聴いてみて下さい。タイトルは仮で、“朱美さんへの告白曲”…なんちゃって。』



そうMDの中の研二さんが言い終わると、さっき聴いた曲が流れだした。


「ジュリーも馬鹿だな、朱美さんにばれちゃったよ。」


ルームミラー越しに、店長は私に向かって微笑む。
雪ちゃんも横で苦笑い。


曲が終わる頃には雪ちゃんの家に着いた。
車から降りる際には、「ジュリーには私からよく言っておくから!」そう言って私を励ましてバイバイした。



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