Jully〜あなたと夢を〜
「今日の番組来なくていいから」
「……え?」
ディレクターの言った意味が分からず、立ち上がろうとした中途半端な姿勢で固まる。
「この前のファックス…あれ、朱美さん宛だろ?」
「…………。」
固まり、言葉が出ない私にディレクターは続ける。
「番組は何とかするから!それより行って来な。誰か待ってるんだろ?」
「私………」
喋ろうとしたが涙でうまく喋れない。そんな私を察して、ディレクターは一言言い残し電話を切った。
「メリークリスマス!」
ツーツーと鳴り続ける電話を机に置く。
ガタッ
半開きのカバンからMDプレイヤーがこぼれ落ちた。
無意識にそれを拾い上げ、イヤホンを耳にあて再生ボタンを押す。
何度も何度も聞いた曲が流れ始める………。