Jully〜あなたと夢を〜
研二さんは最後の歌を歌い終わると、店長みたいな人に連れられ車に乗り込んだ。
結局研二さんに声を掛ける事は出来なかった…。
私はたくさんの人の流れに乗って、ホームに辿り着いた。
1月15日…武道館…
椅子に座って、カバンからMDプレイヤーを取り出し、研二さんの歌を聞きながら同じセリフを頭の中で繰り返し呟く。
1本、また1本電車が到着しては発車する度、ホームに居た人達は減っていく。
そして23時を回る頃にはホームには私1人になっていた。
誰も居なくなったホームを見渡し、時間が経った事に気付く。プレイヤーをカバンにしまい、階段脇の小窓からあの場所を覗く。
誰も居ないのを確認し、ゆっくり階段を降りてあの場所に向かう。
外はさっきよりも雪が降っていてコートを着てても寒いぐらい。手袋越しに、息を手に吹き掛けながら向かう。