Jully〜あなたと夢を〜
さっきまでのライブが嘘のように静まり返った駅前、そしてあの場所。
ポケットから煙草を取り出し、火を点ける。
ケホッケホッ……
雪の上に煙草を立ててお線香代わり。手を合わせ、健児さんに聞く。
─ライブどうだった?
─私ね、あの人の事が好きなの……
─また会えるかな?
─健児さんはどう思う?
え?
一瞬何か聞こえた様な気がして、健児さんに聞き返す。煙草の火が消え、煙がふっと消えた…。
キュッ…キュッ…
それと同時に後ろから聞こえてくる雪を踏む音。
キュッキュッキュッ…
その音は早まりながら近付いてきた……。
そして……その音は私の後ろまで来て鳴り止んだ……。