Jully〜あなたと夢を〜
「じゃあ入り口で待ってるね。」
雪ちゃんがニヤニヤしながら、そう言い残し控え室を出る。
「ジュリー!手短にな!」
ドアの向こうから社長さんの声。その声に、研二さんもわかりましたと返す。
廊下を歩く靴の音が遠ざかり、一瞬の沈黙。控え室には私と研二さんの2人きり…。
心臓の鼓動が早くなる私。研二さんに再会してから、何回もドキドキしてきたけど…今が1番。
多分顔も赤い…。振り返る事の出来ない私は、控え室のドアをじっと見つめながら、鼓動を抑える事に集中していた。
「朱美さん…ありがと…。」
それは突然だった…。
研二さんは私を後ろから抱き締めてそう言った。
せっかくの私の努力も水の泡…さっきより、鼓動も顔の赤さも増した感じがする。