Jully〜あなたと夢を〜
「…じゃあ行ってくる。最後までちゃんと聞いててよ。」
バタン…
そう言い残し、研二さんは控え室を出る。固まったままの私。
控え室で1人になった私。
唇にそっと手を触れ、キスの瞬間を思い出す。
キス…されちゃった……
ガチャ!!
「朱美さ〜ん!まだぁ?」
ドアを開けて、勢いよく雪ちゃんが入って来た。控え室で1人たたずむ真っ赤な顔の私を見てニヤニヤ。
「…朱美さん分かりやす!」
そう言って、キスされたんでしょ?って私の顔を覗き込む。
否定も肯定もしないまま俯いていると、時計を指差して、急ご!開場時間だから!とニヤニヤしたまま私を控え室から引っ張り出す。
『大好きだよ。』
雪ちゃんに引かれて廊下を歩く私の耳に、キスの後言われた言葉が、何度も繰り返し響いていた。