Jully〜あなたと夢を〜

「…じゃあ行ってくる。最後までちゃんと聞いててよ。」


バタン…


そう言い残し、研二さんは控え室を出る。固まったままの私。


控え室で1人になった私。
唇にそっと手を触れ、キスの瞬間を思い出す。



キス…されちゃった……



ガチャ!!



「朱美さ〜ん!まだぁ?」


ドアを開けて、勢いよく雪ちゃんが入って来た。控え室で1人たたずむ真っ赤な顔の私を見てニヤニヤ。


「…朱美さん分かりやす!」

そう言って、キスされたんでしょ?って私の顔を覗き込む。


否定も肯定もしないまま俯いていると、時計を指差して、急ご!開場時間だから!とニヤニヤしたまま私を控え室から引っ張り出す。





『大好きだよ。』


雪ちゃんに引かれて廊下を歩く私の耳に、キスの後言われた言葉が、何度も繰り返し響いていた。



< 221 / 263 >

この作品をシェア

pagetop