Jully〜あなたと夢を〜

スタッフの拍手に迎えられ、社長と握手を交わす。


水を受け取り、一気に飲み干す。今まで味わった事の無い、達成感に溢れた疲労感が俺を襲う。


肩で息をしながら、控え室の椅子にドカッと座り、ギンギンに冷えたタオルを顔にかける。


「お疲れ様……と言いたい所だけど…」


社長が横に来て、ステージの方を指差して言った。


「聞こえるか?」


……………ル!


ア……コ…ル!


アン………ル!


顔にかけたタオルを投げ捨て、上着を着替える。その間もずっと、アンコールの大合唱。


不思議だけど、疲れた体にみるみる力が湧いてくる。


ステージに戻ろうとする俺に、ギターを渡す社長。


「社長、もう1曲歌っていいですか?」


当初アンコールに予定していた曲は1曲だった。来月発表の新曲。



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