Jully〜あなたと夢を〜

「…あと1曲って何歌うんだ?」


社長がびっくりして聞き返す。なぜならもう全ての曲を歌ったから。


「俺が最初に作った曲です。」


そう返すと、分かってくれたのか、少しニコッと笑って答えてくれた。


「ワガママ言ってすみません。」

「最後に、もうひと踏張り頑張れよ!」

「ママに言って、バーの予約入れといて下さい。」

「分かった。」


そう言って、がっちり社長と握手を交わし、俺はステージに戻った。


アンコールの大合唱が、俺の登場で歓声に変わる。その歓声も、新曲のイントロと共に一気に止む。








そしてまた歓声。新曲を歌い終わった事を告げる歓声。



いよいよだ…


予定していなかった曲。


俺が最初に作った曲。


今日が最初で最後に歌う曲。




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