Jully〜あなたと夢を〜
「今日は本当にありがとう。」
マイクを握り、真っ暗な会場を見渡して喋る。
ペンライトの光が蛍の様に揺れながら、体の芯まで響く歓声が降り注ぐ。
駄目だ泣きそうだ。ずっとこの時間を噛み締めていたい…。
「…次で最後の曲になります。この曲は俺が最初に作った曲で、大事な人の為に作りました。」
舞台には俺1人。舞台袖をチラッと見ると、社長が頑張れと書かれた紙を持って応援してくれていた。
少しクスッと笑い、言葉を続ける。
「…今日初めて唄います。みんなも大事な人を想いながら聞いてください。」
今日1番の歓声と拍手が俺に注がれる。その中にはきっと朱美さんも…
聞いてください…
受け取ってください…
大好きです…朱美さん。
「あなたと夢を」