Jully〜あなたと夢を〜
「……本当に私でいいんですかね?」
ビールを一口飲んで、視線をママに移し照れながらもそう答えた。
「研二じゃ不満?」
「違います。その逆です。…私でいいのかなって。」
一度席を立ったママも、よっこらしょと再び椅子に腰を下ろし、たくさんのパットが詰まった胸元から、煙草を取り出して火を点けた。
「…時々思うんです私。健児さんが死んで、同じ場所で研二さんに会って…。きっと運命なんじゃないかなって。」
「…ならいいじゃない。」
フーっと白い煙を吐き出し、真面目な顔で私を見ながらママが言う。
「…でも、なんか怖くて…。もう好きな人を失いたくないというか…フラれたらどうしようとか。」
「………。」
「それに…健児さんを忘れる事も怖いんです…。もちろん、研二さんは大好きです…。でも…健児さんも忘れたくない人なんです…。」