Jully〜あなたと夢を〜
「…ずるいですよねそんなの。だから…こんな臆病でずるい女でいいのかなって…時々思うんです。」
そうママに言い終わった後、自然と涙がこぼれた。
顔は笑ってるのに、自分の意思じゃなく勝手に。
「…あれ?ごめんなさい。…おめでたい席なのに…。」
ママがそっと差し出したハンカチを受け取って、隠れる様に涙を拭く。
「…朱美さんの気持ちも分かるわ。」
煙草を灰皿に押しつけ火を消し、私を真っ直ぐ見てママは続けた。
「でもね、研二は…ジュリーはそんなちっちゃな男じゃないよ。」
ママの言葉に頷きながらも流れる涙を必死に拭き取る。ごつごつとしたママの手が、私の手をやさしく包む。
「…今日ね、この打ち上げの前にジュリーがどうしても行きたい所があるって言ったの。どこだと思う?」