Jully〜あなたと夢を〜
「……。」
「駅前の階段よ。」
ママはそっと私に微笑みかけ、チラっとカラオケで盛り上がってる研二さんに視線を移す。
「健児さんに報告するんだって、武道館ライブの事。そしてありがとうございますって伝えるんだって。」
「……はい。」
「…そしてね、ジュリーは続けてこう言ったの。『幸せにします』って。朱美さん、あなたの事よ。」
「……はい。」
そう答えるのが精一杯で、私の涙はもう自分の意思で流れ続けていた。
「あなたがそう思う一方で、ジュリーも色んな思いを抱えて考えてあなたを好きになって、あなたは幸せものよ。」
「……はい。」
「朱美さんが要らないなら、私がジュリーを奪っちゃうわよ。」
そう言ってママは豪快に笑った。流れる涙の意思とは反対に、今度は自然と笑顔になった。