Jully〜あなたと夢を〜

研二さんが歌い終わると同時に、煙草の煙が空に登るのをやめた。


再び静まる駅前。




何分経ったんだろう…。お互いに何も喋らず、ただ肩を寄せ合い暖をとる。


長い沈黙を解いたのは研二さんだった。ちょっとはにかんで、でも真面目な顔で口を開いた。


「この場所で……言いたかったんだ。」


「え?」


「この場所で…朱美さんに俺の気持ちを伝えたかったんだ。」


「……。」


黙って研二さんの話を聞く。ドキドキうるさい心臓の音を聞かれたくないから、体を少し離す。ほんの少しだけ。




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