Jully〜あなたと夢を〜
プレゼント

雪がしんしんと降っていた。


もうすぐ終電もあって、人通りも少なくなった。


腕時計を確認する。


0時


エンドレスに繰り返される健児の歌を聞きながら、泣いていた。


私、フラれた……。


そういう事だと思った。
いくら待っても健児は来ない。


電話ももう何十回もした。
でも繋がらなかった…。


溢れ出る涙を拭きながらMDを止め、立ち上がる。


帰ろうとしたその時だった。



ブルルルル…



ポケットの中の電話が震える。


健児からだった。


涙を堪えながら、電話に出る。


「…もしもし?何してるの?」


「…もしもし。…朱美さん?」



電話の声は健児じゃなかった……。




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