Jully〜あなたと夢を〜
「…朱美さん。」
健児のお父さんが振り返り、涙声で私の名を呼んだ。
それと同時に、今まで動かなかった体が嘘のように、ベッドに向かって駆け寄る。
「嘘でしょ!」
横たわる人の体を揺さぶりながら、健児のお母さん、お父さんを見る。
「……。」
二人とも何も喋らない…。
「嘘!」
その時顔にかけられた白い布が落ち、見慣れた顔が目に入る…。
「…う…そ。」
真っ白い顔になった健児がいた。
「…健児。いつもの場所行こう。…今日クリスマスイブだよ。…いつまで寝てるの?私、待ってたんだよ…。」
「朱美さん……。」
お母さんが後ろから私に抱きつく。
「…健児!もう怒ってないから!ギター弾いてよ!私の為に歌ってよ!」
健児の冷たい手を握り、力のかぎり体をゆする。