Jully〜あなたと夢を〜

「…この中にね、こんなものが入ってたの…。」


ギターケースの中から何かを取り出し、泣き続ける私の前に差し出す。


「…朱美さん。受け取って。」


震える手でそれを受け取る。



──何?



もう何が何だか分からない。夢なのか…現実なのか…。涙が溢れ、声も出ず、震えも止まらない…。



「……。」



無言のままお父さんは、お母さんを促し、廊下に出る。


暗い部屋に冷たくなった健児と私だけになった…。


震える手を開き、渡された物を確認する。



──何?




それは一枚の封筒と小さい四角のケースだった…。


力の入らない手で、封筒を開ける。
それは健児からの手紙だった。





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