Jully〜あなたと夢を〜
「ええ。…それとマルメンライト(煙草)1つ。」
「はい。」
煙草を手に取り、会計を済ませ雪ちゃんのヘルプに回る。
「ありがとうございました〜」
ピンポーン ピンポーン
店内にいたお客さんが嘘のようにいなくなる。
「さっきのお客さん…」
忙しさに一区切りつき、お客さんが出ていくのを見ながら、雪ちゃんが呟く。
「え…?」
雪ちゃんの声はか細いので聞き返す。
「さっきのお客さん…2番のケーキでしたよね。」
「そうだけど何か?」
「2番のケーキって1番クリスマスぽくないんですよ〜。それでいて1人用なんですよ〜。」
「…はぁ。だ…だから?」
「だから〜さっきの女性は〜、きっと1人であのケーキ食べると思うんです〜。」
そう言いながら、雪ちゃんはお菓子の補充に向かった。
………。
「古俣君!」
急に店長に呼ばれビクッとする。
「はい!」
「2番のケーキ余るから、古俣君にあげるよ。どうせ1人でクリスマスだろ?このケーキ1人用だし、1番クリスマスっぽくないから、それに今日誕生日だろ?」