君の声が聴こえる
ピリピリとガムテープをはがすと、目の前に現れたのは裸体の少年だった。

頬をそっと触れてみても温かく、生きているのだと判る。

それなのに、ダンボールに入れられて平気で眠っているのは何故だろう。


「……お父さんからメモがはいってる」


カサリと音を立ててメモを開く。

和葉は中身を確認して頭を抱えた。


「人工人間の失敗作なんだけど愛着がわいて捨てられないんだ。世話ヨロシク……って……」 


最近まで二人ぼっちで暮らしていた弟を亡くしたばかりの和葉にとって代わりになるとでも思って贈って来たのだろう。


生身に近い人工人間を作り、社会に献上したり欲しがる人に提供したりするのが父の仕事だった。


人間には出来ない危ない仕事を主に行ったりする人工人間は体は硬質で丈夫だがこの少年は柔らかなマシュマロのような肌をしている。

きっと愛護用だろう。
< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop